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daily life and travelogue

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2015年 07月 15日

シンプルなかたち


先日、森美術館で開催された「シンプルなかたち展」の最終日に駆け込んだ。
ポンピドゥーとエルメス財団との共同企画。
とにかくもう、最高だった。

ありったけの五感を総動員して、目の前の美しさを受け止めた。
ことばにならないような深層のところで、
ただ感銘を受けて、涙がでてきたり、心が高揚したり、
わたしのなかに潜む感性が静かに盛り上がっているのを感じながら順路を進めていった。

この素晴らしい体験を忘れてはいけないと強く想い、
そしてこの展覧会を実現してくださったすべてのひとたちに敬意と応援の意を表して、
図録を持ち帰ることにした。

しばらくは余韻に浸りながら、
時間があれば図録をめくってそのときの気持ちを戻したりしていた。

ようやく自分のなかで、美についての考え方がまとまってきたので、
ここに記録として残しておこうと思う。

シンプルなかたち_f0352199_10461894.jpg

ありとあらゆる美しいものがあるけれど、
わたしがもっとも惹かれるのは「天然の美」。
過剰に手を加えて作り込んだものではなく、
もとからその形をまとって生まれてきた状態がひとの心を打つようなものは、
真の美しさを持ちえている。

なぜ、それでもひとは、美を求めて創作へと向かっていくのだろう?

かの有名な芸術家であるデュシャンだって、
航空機の木製プロペラを目の当たりにしたときに、
この疑問を抱いたそうだ。

この問いに対して即答はできないけれど、
きっと、それぞれがのなかにある美を具現化していく営みなのかな。


そぎ落とされた美しさ。
ただ素朴であるとか、ラフであるというわけじゃない。
洗練された結果、
シャープで隙がないのに、観る側を受容してくれるような懐の深さや温かみがある。
無駄がないのに、隙間がある。
しなやかな芯の強さによって、決して揺らがない。

そうやって考えていくと、ひとつの仮定的な結論がでた。
きっとそこには虚栄心がないのだろう。
すなわち、自分を良く見せようとする下心がない。
ただ、そこに在るということ。


この展覧会で観たものや感じたことは、
今後、生きていくための依り代となる。
ちょっとおおげさだけど、そう確信した。

さまざまな価値観があるけれど、
わたしは「シンプルな美」を指標にしていくことになるだろう。

暮らしかた、身にまとうもの、思考、人づきあい、食事。
質のいいものを永く愛用していく。

10年先でもそれを選ぶであろうものを、今ここでも選ぶ。
年齢・環境・立場が変わっても、きっとひとりの人間として抱く核は変わらない。

シンプルなかたち_f0352199_10444273.jpg


# by tinytacco | 2015-07-15 10:46 | 展覧会
2015年 06月 24日

染色


一年で一番昼が長い日の夏至、
かねてより興味のあったひとつの試みをした。

染色。
生地を染めて、元の色とは別の色にすること。

そもそもの始まりは、譲ってもらったエプロン。
素材はいいのだが色が残念ながら好みではなかったので、
せっかくならば染めてしまおうかなと思案していたところ、
ともだちも染色に興味があって、白物を染めてみたいんだという話になった。
せっかくならば一緒に実験を兼ねて試してみようということに。

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ハンズや100均で染料や道具を集めて、いざスタート。

40度のお湯に染料を溶かし、同温の塩水を張ったバケツに流し込む。
よく混ざったら、いよいよ色水のなかに投入。

最初の15分はひたすら揉んだり押したり。
ぐんぐん染まっていく。
化繊の糸やファスナーなどの金属部分は染まらないから、
布の部分だけ色が変わる。
別色でステッチしたような、思いがけない柄の浮き彫りが面白い。

それから45分はそっと置いておく。
たまに浸透するように撹拌したり様子見ると、
先ほどよりもいっそう色が濃くなっていくのがよくわかる。

染まりきったものを水ですすぎ、最終的に色落ち防止の薬剤を溶かしたぬるま湯に15分つけて作業終了。
最後にもう一度すすぎ、洗濯機で水洗い。

これにて完成です!

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ふたりで協力しながら、おしゃべり休憩をはさみつつ作業をすすめてたのもあって、
あっというまの数時間だった。

むら染めにもならず、出来映えにも満足◎

今後、染色にまつわる継続した活動をしたいねって話していたら、
いろんなアイディアが湧いてくるくる。

これはハマりそうです。

染色_f0352199_10450289.jpg



# by tinytacco | 2015-06-24 10:45 | challenge
2015年 06月 05日

大きな川


悲観的になってしまうこと。
物事をこじらせてしまうこと。
感情の起伏が激しいこと。

こうした性分=わたし、だと思っていた。

けれど、そうした性分は単にわたしの構成要素のひとつに過ぎない。
ただひとつの要素にフォーカスをあてて、近眼的になってしまっているだけ。

目の前に立ちはだかっているのは確かだけど、それ以外にもあるでしょ?
わたしを構成するもの。

水滴の集まりによって水たまりになり、いつしか川になる。
その川は、ひとりの人間かもしれないし、人類かもしれない。
もしかしたら宇宙なのかも。


そんな話をしていたら、イームズの映像を思い出した。
忘れないように貼っておこうとおもう。




# by tinytacco | 2015-06-05 10:24 | 日々
2015年 06月 02日

みなもと


友人の展覧会に足を運んだ。
作品を観るのは1年ぶり、本人に会えたのは2年ぶり。

生きることが創ること。
そのひとは、そう悟っているようなところがある(ように見える)。
周りと較べることなく、じっくりと歩んでいくようすは
決して力強いわけではないけれど、きちんと自分と向き合って律している。

今回の再会では、
やることに追われてセカセカしたり、小さなことでクヨクヨするようなわたしに、
いつのまにかどんよりと曇ってしまった視界や感覚に光を導いてくれた。

なかでも、ひとつ印象深いことがあった。
そのひとのつくった、まあるい球の作品を両手に取って抱えたとき。
なぜかよくわからないけれど、とても温かい気持ちになった。
しばらく抱えていると、わたしの体温が移っているのが感じられる。

それが掌のなかにあるだけで、深いところが安心できる。
こんな気持ちになったのはいつぶりだろう。
すごく不思議な経験だった。

これは、これからわたしが生きて行くうえでの拠りどころになるような気がした。
そんなようなことを伝えたら「大げさだ」と笑われたけど、ほんとうにそう感じたんだ。

そうして、連れて帰ることにした。
これが居てくれるならば、もう少したくましく生きていかれそうな気がする。

みなもと_f0352199_10315808.jpg



# by tinytacco | 2015-06-02 10:47
2015年 05月 23日

夕暮れどき


一日のなかで、日が暮れていく時間帯は特別なひととき。
きっと夕方に生まれたっていうのは大きいかも。
夕暮れどき_f0352199_14254455.jpg


# by tinytacco | 2015-05-23 14:26 | 日々