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daily life and travelogue

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2015年 08月 23日

ルーシー・リー


先日、ようやく千葉市美術館までルーシー・リー展を観に行ってきた。
2012年に開催された須田悦弘さんの個展以来、2度目の訪問。

2010年に国立新美術館で開催された個展を見逃してしまっていたので、今回の巡回展を待ち望んでいた。
…とは言いながらも、実は3年ほど前に彼女の作品とは対面を果たしていたんだっけ。
ひょんなことから知人のお店を訪ねたときに、その方が所有していると知ってその場で見せてもらった。
まさか手に触れることができるなんて思いもよらなかったので、胸の高まりによって手が震えていたのをよく憶えている。
(その割に、ディテールや色については盌のような形状だったことくらいしか確かな記憶がない…)

本展は、ルーシー・リーの代表的なうつわの類が展示されているだけでなく、
イギリスへ移るまえにウィーンで制作した作品群や陶製のボタンの類なども観ることができた。
彼女の活動において不可欠な存在である、ハンス・コパーとの共作もちゃんと展示されている。

無駄な装飾を削ぎ落とし、釉薬の化学反応や手業によってつくられる外見的特徴は、
一度観たことのあるひとならば、ひと目みれば彼女の作品だとわかるほど。
もちろん造形的にも美しいのだけれど、魅力は決してそこだけじゃない。
例えばポットの注ぎ口がすぅっと伸び、その延長で先端の穴のあいたところがごく自然に形状を変化してあらわれるようす。
まるで、白鳥のくちばしのようなたおやかさを孕んでいる。
極めてシンプルな形状にもかかわらず、ほのかに漂う官能性にうっとりしてしまった。
あんなふうに思わせる作品、今までに観たことがない。
時間さえ許せばいつまでも見つめていられるほど、すっかり魅了されていた。

彼女のあくなき探究心とストイックにその道を突き詰めていく姿勢にも実に感服した。
実直で真摯な姿は本当にかっこいい。
こうやって生きていきたいと思わずにはいられない。
オトナになってから出逢った、数少ない尊敬するひとだ。

最後に、取材嫌いだった彼女の工房での制作風景を捉えた映像が上映されているのが印象的だった。
あの繊細でダイナミックな作品がどんなところで、どのようにつくられているのか。
バックグラウンドがわかると、よりぐんっと心に迫ってくる。
これだったかは定かではないけれど、垣間見れそうな動画を見つけたので貼っておきます。




美術館の入っている千葉市中央区役所の1F部分は、さや堂ホールと呼ばれる空間がある。
美術館外の展示空間として展開されていた前回とは打って変わって、今回は地域密着のイベントが催されていて賑わっていた。
地元に根付いた施設の有効利用、いいなと思う。
それにしても、趣深い調度品や高い天井が醸し出すなんともいえないいい風情。
スクラップアンドビルドが常な日本において、古き良きものを残そうという心意気、大いに歓迎し共感する。

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そうそう、どうやらその日は千葉でも有数の大きなお祭りだったらしい。
千葉駅から美術館までの道にはたくさんのお神輿が出ていて、担ぎ手や見物人が人だかりをつくり最高潮の盛り上がりをみせていた。

すこし前と比べるとわずかに日没が早くなってきた今日この頃。
夏真っ盛りから折り返し、秋の気配が忍び寄る。
そんな切なさをひそかに感じながら、ルーシーの余韻に浸りつつ夕暮れの街を散歩した。


# by tinytacco | 2015-08-23 21:19 | 展覧会
2015年 08月 09日

都市の風景


そういえば台北に行ったことについては、かき氷くらいしか記していなかった。
うっかり1ヶ月以上経ってしまったけど、備忘録的に綴ります。

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2度目に訪れたのは真夏。
それはもう、灼熱の日々でした。
最高気温が体温くらいってのが標準的だった。
今夏は東京も過酷なのでその準備としてはいい慣らしになったけど、
初めての熱中症はほんとうにきつかった。。
身体的なことで言えば、ベストシーズンの春と秋をおすすめします。

数十メートル間隔でコンビニがあったり、
WiFiはどこに行ってもパスワードを教えてもらえるし、
都心はいつだってひとの往来が多い。
良くも悪くも、東京を歩いているような錯覚を繰り返すほど、馴染みやすい空気感だった。

そんな都会的な印象がありながらも、
ホテルから近い大通りからバスに乗り込めば、小一時間で自然豊かな陽明山へたどり着く。
その程よい距離感がいいね。

今回は九份などの観光地というよりは、
台北のひとたちの日常に寄り添うような散策が多かった。

都市の風景_f0352199_16124799.jpg
なぜが理容室や美容院の多かった赤峰街エリア。

都市の風景_f0352199_16144847.jpg
ひと気のない路地裏。初めてみる景色なのに妙にぐっとくるノスタルジー。


今回も現地の友人と落ち合ったのだけど、
彼女はかなり都会的なライフスタイルのようで、
Uberでアテンドしてくれたり、帰り際には職場からおしゃれな自転車で颯爽と駆けつけてくれた。
彼女の根っからの優しさに触れると、人間味のある台北という街がますますすきになる。

アートブック・クラフトビール・うつわ・古道具…
どこへ行っても、日本のものをよく見かけた。
相変わらずの日本びいきっぷりは健在のようだ。


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これまでにいろんなところへ行って思うことは、
わたしにとって快適なのは、やっぱりこじんまりとした都心の街だ。
前に福岡に行ったときに既に気づいたことだけど、先日行った松本しかり。
昨夏訪れた金沢もそうか。
その気になれば、その街を歩いて廻れてしまうくらいの、
目の届く範囲で生活が事足りるくらいのところがちょうどいい。

東京はなんでもあって便利だけど、
ちょっと手に負えない巨大さがたまに疲れてしまうことがある。
生まれ育った街だけど、すきなところと未だに苦手なところがあるのだ。


# by tinytacco | 2015-08-09 16:24 | travelogue
2015年 08月 06日

夏山


まじり気のない、抜けるような青空。
緑が生い茂る山。
そこに入道雲までやってきた。

この絶妙なコントラストをみると、あぁ夏だなと思う。
どんなに陽射しが強くとも、心がすぅーっとする。

ほんのたまにハイキングをするくらいで登ることは滅多にないが、
青々とした山のある景色は、いつだってわたしの心を捉えて離さない。

さすがに今年は暑すぎるけれど、やっぱり夏がすきだ。
夏山_f0352199_00174040.jpg
松本民芸館内からの借景。全方向の窓を開け放しにしていた。風通しがとてもいい。



# by tinytacco | 2015-08-06 08:37 | travelogue
2015年 08月 04日

松本民芸館


先日松本を訪れたときに、はじめて松本民芸館に立ち寄った。
周りは田んぼに囲まれ、遠くには穂高をはじめ青々とした山の連なりがみえる。
風通しのいい、素晴らしい場所だった。

展示されているのは、初代館長の丸山太郎さんの蒐集した、国内外の民藝のものたち。
それぞれに愛嬌があり、手仕事の軌跡がほのかに残るすばらしいものばかりだった。

入口に掲示されている太郎さんのことば。
ぐっときたので、ここにも記しておきます。

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美しいものが美しい
では何が美しいかと申しますと
色とか模様とか型とか材料とか色々あります
その説明があって物を見るより
無言で語りかけてくる物の美を
感じることの方が大切です
何時何処で何んに使ったかと云うことでなく
その物の持つ美を直感で見て下さい
これはほとんど無名の職人達の
手仕事で日用品です
美には国境はありません

丸山太郎
松本民芸館_f0352199_00140773.jpg


# by tinytacco | 2015-08-04 11:01 | travelogue
2015年 07月 25日

暑中お見舞い


東京もようやく梅雨明けしたとおもったら、
連日かんかん照り、時々激しい雷雨といっためまぐるしさ。

心身ともにめげないように、目の保養をしましょうか。

暑中お見舞い_f0352199_23582619.jpg
しろくま。


暑中お見舞い_f0352199_23583861.jpg
和三盆。

暑中お見舞い_f0352199_23584952.jpg

フルーツごろごろ。


# by tinytacco | 2015-07-25 00:11 | 日々